ずいぶんと昔にとても小さい映画館でロシアの映画を観た。
オブローモフの生涯という題名だった。
なんだか全体的に気だるいムードのよくわからない映画だった。
主人公のオブローモフは、恐ろしく怠惰な人間で何もしてなかった。何もしないでだらだらと過ごし、だらだらと死んでいった。
だけど、彼の言葉をひとつだけ強烈に覚えている。
庭に散っている枯れ落ちた葉っぱについてだ。
枯れて落ちてカサカサと音を立てる色あせた葉。
すっかり肉も水もなく古びた紙みたいに軽くなった葉っぱたちを見て言うのだ。
あの葉っぱだって意味があるんだ。
この世に存在するものに意味のないものなんてないんだ。
そんな言葉だった。