冬の庭はさびしい。
生き生きと輝く光るものがない。
真っ赤な椿さえ、漆黒の葉っぱの中にひんやりと光るどん詰まりのネオンみたいだ。
ただの庭でさえ、これだけ寂しいと感じるのだ。
空襲や爆撃で、焼かれたり壊されたりした場所を目にしたなら、どんなに胸が潰れるだろう。
春の勢いある色の鮮やかさよ。
ピカピカに光る新緑たちよ。
君たちが安心して伸び伸びと腕を伸ばしながら立ち上がれる日が早く来るといいね。
人間という生き物にかかっているのにね。
生きる、ということすらバカにしている生き物の人間がいるんだよ。
生きる、ということより胸の中を支配するちっぽけな何かだけを見ているんだね。
悲しいね。