葉っぱを見上げて空をあおいで

花よりも 葉っぱに魅かれて空を見る

枯れ枝に突然あらわれる綿雪のようなミツマタ

冬の終わりに梅林を散策していたら、見たことのないたくさんの白いツボミを発見。

葉っぱもない枝にふわふわとぼたん雪のようにくっ付いている。まるで、老いた母親の細い腕にしがみついている赤ん坊のよう。

白いフリルの帽子をかぶってうつむいている。

フリルの隙間から顔を覗かせている子もいるが、その顔は少し怖い。蓮の花のようであり、太陽を求めて向きを変えるヒマワリのようでもある。蜂の巣にも似ている。

何かに擬態して虫を呼んでいるのだろうか?

蓮の花のようで、ヒマワリのようで、蜂の巣のような小さなツボミの集合体。それらが全部開くと、なんと愛らしいブローチ。その色は黄色く若々しい。明るく灯されたボンボリのようだ。

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ミツマタ

花とは無縁のお名前。枝の先が三つに分かれているからミツマタというらしい。

この枝が、なんと、和紙の原料になり、私たちが日常目にするお札の原料にもなるそうだ。

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あのね、私たちってね、決してつぶされて紙の原料になりたいわけじゃないの。知ってる?普通の紙ってさ、濡れると破れるわけ。でもね、ここ重要なんだけど、わたしが紙になると破れにくいのよ。みんなの大好きなお札。見たことあるでしょ?そーそー。財布の中にたくさん入ってると嬉しい、あれね。まあ、最近は電子マネー?あれのせいで持ち歩かない人も増えてるって話も聞くけど。そのお札って、何度も何度も色んな人の手に渡って、折り曲げられたり、くしゃくしゃにされたり、落書きされたり、番号付けるアホもいるし、服のポケットごと洗濯されたり、ほーんと、こき使われるわけよ。そうするとさ、普通の紙じゃてんでお話しにならないの。

んなわけで、私が選ばれるの。

お札とか和紙とかの原料に。ほんと、迷惑な話しよ。

だから、私ね、なるべく目立たないようにうつむいてるの。んで、骸骨の歯がたくさん並んでるみたいにちょっと怖く蕾を並べてるの。わかってくれる?